目次
みなさん、こんにちは。
さて今日は感覚統合と難しそうな名前の題名ですが、
みなさんは「感覚統合」聞いたこと、見たことありますか?
私はお恥ずかしながらこの仕事に携わるまで知らずに
ADHDの息子と日々戦いながら、子育てを行っていました。
運動会病
発達障がいのお子さんたちは、ひとえに発達障がいといっても自閉スペクトラム症であったりADHD(注意欠陥多動症候群)、学習障がいなど様々です。またその中でも1人ひとりその障がいの症状の表れ方が異なり、同じ名前の診断名がついていても全く違うように見えたりすることもあります。これほど違うのに親子を悩ませる共通点があるのです。これは私が勝手に読んでいるのですが、その名も運動会病です!症状は運動会の練習が始まった直後くらいから、荒れがちになるということです。
環境の変化が苦手だから、そりゃそうでしょう!と思われるかもしれません。ですがそれだけではなさそうなのです。発達障がいの多くのお子さんは発達性協調運動障がいと併存していることが多く、上手く体を動かせないつまり運動が苦手なお子さんが多いと言われています。
そこで冒頭に戻りますが、この運動の苦手な理由に感覚統合が大きく関わっているのです。
早速、どのようなものなのか見ていきましょう!
感覚統合理論とは
アメリカの作業療法士エアーズ博士が作った理論で、脳の発達には感覚が大きく関わっており、人間の発達や行動を感覚情報の視点から捉えて作られました。
・・・こう聞くととても難しいですね。
みなさんは「感覚」と聞いて思い浮かぶのはどんな感覚でしょうか?
「味覚」「聴覚」「嗅覚」「触覚」「視覚」の5感が主だと思います。
感覚統合にはこの5感に
「固有受容覚」と「前庭覚」の2つをプラスして発達を促していきます。
初めて聞く方も多いと思いますがこの2つと触覚が身体の動かし方に大きく影響します。
では1つずつどんな感覚なのか見ていきましょう。
固有受容覚とは自分の身体各部の位置や動き、力の入れ具合などを感じる感覚です。例えば重たいものを持つときはグッと体に力を入れますが、逆に豆腐や卵を持つときにグッと力を入れる人はいないと思います。普段何気なく行っている事ですが、この固有受容覚が感覚をコントロールしているのです。
前庭覚とは加速度を感じる感覚です。重力や自分の身体の傾きやスピード・回転などが当てはまります。耳石と三半規管を通じて感じています。例えばクルクルと回って目が回るまで回った後、何とか重力に負けずに真っすぐ歩こうとしますよね。その時に感覚を感じ取って調整しているのが前庭覚です。
触覚と固有受容覚、前庭覚が身体の動きに大切なのは分かったけれども、運動会と何の関係が?と思われるかもしれません。それは身体図式の発達なく運動会の種目に挑むことが難しいからなのです。
身体図式の発達
身体図式には主に2つあると言われ①身体地図の把握②身体機能の把握になります。
- 身体地図の把握はその文字の通り、自分の身体の輪郭や手足の長さ、身体のの幅、大きさなどを把握する機能です。子どもたちはどろんこ遊び、電車ごっこ、プール遊びなどの自分の身体に密着したり触れる遊びの中で触覚や固有受容覚を使って、曖昧な身体地図を明確にしていくのです。
- 身体機能の把握はどのように手足や体幹を動かすことができるのか、自分はどの程度の運動能力があるのかを把握する機能です。主に固有受容覚・前庭覚により発達します。主な遊びではジャングルジムや跳び石渡りなどです。この機能が希薄だと怪我に繋がることが多くなってしまいます。
この身体図式の発達が未熟だと、運動会の集団でダンスであったり障害物競走などで上手くいかないことが起こり、一生懸命やっているのに・・・何でできないんだろう。と自己肯定感を下げてしまったり、上手くいかない感情をコントロールできなくて周りにあたってしまったりに繋がっているようです。
感覚統合理論の3原則
では、どのようにこの感覚を発達に結び付けていきましょうか。
感覚統合理論には3つの大切な原則があります。
- 感覚は脳の栄養素
- 感覚の入力には交通整理が重要
- 感覚統合は積み木を積むように発達する
脳の栄養素、これは成功体験です。
楽しい活動・ちょっと挑戦する活動→やってみよう→チャレンジ・試行錯誤→できた!
できた!時の成功した達成感が脳の栄養素になります。今のお子さんにとって何が楽しい活動でしょうか。ちょっとだけ挑戦!という活動はなんでしょうか^^
だからといって次から次に新しい感覚を入れ込むのは混乱を招いてしまいます。それが②にあたります。運動会のダンスが苦手だったらう動きをバラバラにして1個づつ感覚を入れてあげることで、子どもたちは交通整理を行いながら感覚を発達させることができます。今日は感覚統合の積み木の1番土台になる部分をお話させて頂きました。固有受容覚・前庭覚などの発達があって姿勢が保てて、身体図式の積み木が積めるわけです。
身体図式が曖昧なのに鉛筆やお箸がもてるかというと、持つことはできても指先の感覚が曖昧なので、動かすことはできません。子どもたちが今どの積み木を積んでいるのか土台はしっかりしているのかを見極める必要があります。
感覚統合についてほんの一部を簡単にお話させて頂きました。他にも学習・運動に必要な感覚などまたお話できればと思います。
取り上げてほしいお悩みやテーマがございましたら、お気軽にお問合せフォームからご相談ください。